宇城の民話
宇城の民話 「お勘女さん」
2013年05月04日
むかし まつばせの おかだけに
えだぶりが らっぱのような かたちをした
おおきな まつのきが ありました。
むらの ひとたちは おおきな
まつの えだぶりをみて
「ちくおんきまつ」と よんだり
「おかんのまつ」ともいっていました。
そこには おかんじょさん という
めぎつねが すんでいました。
おかんじょさんの
すがたは うつくしく
けなみも きれいでした。
このはを あたまに のせて
すがたをかえる ばけかたは
みごとなものでした。
なかまの きつねたちからは
おかだけの じょおうと
よばれていました。
おかんじょさんは
とうのうやまの とくべえどんが
すきで すきで たまりませんでした。
でも なかなか ねがいが かないません。
やさしい こころの おかんじょさんも
きもちが だんだん
あらく なってきました。
それで ひとざとに
でかけては
たはたを あらしたり
にわとりや たまごを
ぬすむようになりました。
ちいさい こどもには
おかしや おもちゃを みせびらかして
やまのなかへ つれていきました。
こどもを さがしにきた
おやたちを みちにまよわせ
くたくたに つかれさせました。
おにのいわやを
おてらに みせかけては
てらまいりの おとしよりを
みっか みばんも
ひきとめました。
いたずらが ひどくなった
おかんじょさんは みんなから
きらわれるように なりました。
ゆうぐれまで あそぶこどもには
「おかんじょに つれていかれるばい」
おそくまで ねないこには
「はよう ねらんと いまに
やまから おかんじょが おりてくるぞ」
というようになりました。